苗字を変えたくない

変えたくないんだよォ!!!!!!!!!!


と、ダダをこねてはみたものの、じゃあ法律婚しないで事実婚のままでいくのか?と言われるとウーンそれはちょっと、うちの場合メリットがあんまない…。



交際何年くらいでしたっけ。三年くらい?同棲初めて約一年。どっちも長子で、法律婚しましょうね〜となると出てきたのが冒頭の通り苗字の問題だったわけです。



私、物心ついたころから自分は婿を取るものだと思って生きてきました。きょうだいは妹のみで、祖父と父は私にに「家を継ぐ」ことを望んで、そういうふうに育てられたもので。

婿をとるとか家を継ぐとか言うと大袈裟なんだけども(そんなにいいおうちでもないし)、まあでもとにかく、私は苗字を変えず生きていくと決めてたんですよ。

女なんでね、成長するにつれて、それが茨の道なのも知っていったし、いずれ結婚を考えるようなことがあればどうにかして相手と相手のお家をを説得しなきゃいけないなー、気が重いなー、みたいなことも思ってたし。

ただ、正直なところ、何年か前まで自分の人生に結婚とかいうイベントが降りかかることはもうないだろうなと思ってたんですよ。

色々あって一人暮らし辞めて実家戻って、「資産価値ない山奥の土地継ぐのやべーわ父の実家もちょう山奥だし今無人だから定期的に手入れしてるとはいえ傷みがやばいんですけど妹はあてにはならんし、一人でなんとかするしかねえんだよなヤバい」とか考えてて。


考えてたんですけどね。


人生わかんねえやなあ。


降りかかってきたちゃったんですよ、苗字をどちらにするのかという問題が。

私としては変えるつもりはない。夫(予定)も変えるつもりはない。

実は交際当初から私、そういう話してたんですよ、じわじわと。義実家(予定)にご挨拶行った時も、お母様に流れでそう言うお話ししてたりして。

なんならプロポーズされた時にも言ったと思うんだけどな。

でもねえ、夫(予定)、それ全然覚えてなかったんですよね。

「嫌だ」「変えるつもりはない」「自分の今の苗字の方が珍しいからそっちがいい」

おふざけにならないでって言いたかったけど、一回は飲みこんだ。たぶん私の実家には反対されるだろうな、と思ったので、反論材料を外部に得てから反論しようと思いました。

その上で、一回、苗字を変えるつもりになって生活してみることにしました。

まーーーーー思ったよりメンタルにきたよね!!!!びっくりしちゃった。

あのねえ、繰り返しますけど、私は自分は苗字を変えないと思って生きてきたので。びっくりするくらい、苗字変わるの嫌だった。

すげー凹んだし、夫(予定)が出張中だったこともあって一人だったので、めちゃめちゃ泣いた。

私は好きな人と一緒に生きたいだけなんだけど、そのためには、私は一生変わらないだろうなあと思っていた自分の名前の響きが変わってしまうことを受け入れないとならない。

幸いなことに、資格とかでバカ高い名義変更手数料とられるとかはなさそうだったし、仕事で海外に行くわけでもないから、旧姓併記で面倒が起こるとかはなさそう。手続きも大抵は一度やればすみそう。相続権の問題も、苗字が変わったせいで面倒になるとかもなさそう。苗字が変わるメリットもデメリットも、ない。だから、これは私の感情の問題なんだと思ったけど、受け入れたくないってめっちゃ泣いた。

泣いて泣いて、三日くらい泣き暮らしたのかな。そこまでして、私が拒否すれば夫(予定)にこれを味合わせると思ったら堪えてあげてもいいんじゃないか?と少しだけ思えた。ので、そこで初めて実家に話しました。



うちの実家の意向としては、私に苗字変更してほしくない。私としては夫(予定)の感情を無視してゴリ押ししたくない。まずこのへんで父と議論。

相続権については問題なし、名前が変わろうがなんだろうが、家の土地をどうにかするのは私がやる。

ここまで話して、「百歩譲って苗字変えるのでもいい、相続をしっかりやってもらえるなら」の言質を引き出せたところで、墓の話。

これもさー、なんか、どうなってんのかわかんなくないです?わかる?墓の話。もう全然わかんなくて。

父も祖父が亡くなった後、戒名の相場とか色々分からなくてまごついてたのは知ってるんだよね。

話聞いたら、墓の権利の継承については「勝手にそうなってた」とのことで、父にもわかんなかったんだよ!あるかよ、そんな話。

まあ多分、祖父が生前にやっておいたんだろうけど。

下手すると、「苗字が同一の家の者」でないとダメな可能性だってないわけではないので、お寺さんに確認して欲しいってお願いして、実家との話し合いは一旦保留。



次は夫(予定)方向の説得というか、要望の確認。

真っ先に「なんで俺に苗字変えて欲しいの?理屈が知りたい」って言うのでハァ?ってなったけど。

私も私に苗字を変えて欲しい理屈を聞きたいが?「俺が嫌だ」と「俺は男だから変えない」以外で。「俺の苗字の方が珍しい」はまあ確かにそうだけど、私はそのド普通の苗字で人生折り返しまで生きてるのだが。ハァ?失礼では?

うっかり鬼が出そうになりましたが、それはしまって、丁寧に、穏やかに、父の要望と理由を伝えることに終始しました。怒っても泣いても絶対にダメだと思ったから。

取り敢えず、納得はしてくれた。私の父の要望や、お互いの家族構成を考えた上で「俺が折れるのが妥当だと思う」とまでは言ってくれて、それでも感情的に納得してないようだから、一週間苗字を変えるつもりになって暮らしてみろ、それから親と話せ、親の意向を聞けってつついて一旦締めました。

結婚って家の話でもあるから。いやそうじゃないっていう人もいるかもだけど!現実問題、親の意向無視できないですよ。うちの実家の話ばかりしてるのフェアじゃないから、話をしろと。

結果的に、彼のお母様からは「どっちでもいいよ。好きにしなさい」って返事きたんですけど、実はそう返されるだろうってこと、私ちょっと予想してたんですよね。

だって夫(予定)のお母様にお会いした時に、うちの苗字名乗って欲しい話してるんですよねー。全然いいわよ!好きにして!って朗らかに言われてるんですよねー。

夫(予定)まっっっったく覚えてなかったけど。なんでよ。隣で聞いてたでしょ。マジで他人事だったのか?あなたの話だが?

そうして外堀埋め立てられた夫(予定)が想像以上にしょんぼりして、どうしても変えたくないって言うからさあ。


折れました。折れてあげたよ。


墓の権利の問題がなんとかなるならば、私が苗字変えてもいいですよってことにしました。

泣く子には勝てなかったよね。泣いてないけど。

実はここも私は想定してたよ。だって感情の話のみになっちゃったら、先に折れてあげてもいいかなって思っちゃった方の負けでしょ。私の年齢からしても、父は強く反対できないだろうなとも思っているしさ。

というか、サビなんでもっかい言うけど、わたし苗字変えるつもりなんか一切なく生きてきたんですよ。絶対に婿を取る、嫁には行かんってつもりで生きてきたの。

それが茨の道っぽいことは気づいてて、その日が来たらなんとか相手を説得しなきゃいけないんだなって、結婚するならば相手の説得を行う、相手の苗字を変えさせることについて責任を取らねばならぬっていう覚悟で生きてきたわけ。

付き合い始めた時からそれはずっと考えてて、でも怖くて、恐る恐るだけど伝える努力はしてたつもりでしたよ。すっかり忘れられてたし、忘れられていたことに対する恨みもぶっちゃけある。そのうえで、なんとかして理屈そろえて話してみたんだけれども、でもさあ、どうしても嫌だっていうからなあ。

どちゃどちゃに泣いたし、今でも感情的には納得できてないから一人だとまだ泣くけど、それでも受け入れようって決心をしました。

彼にこんな思いさせるのは全然本意じゃないので。

私の父なんかまだ覚悟できてないと思うよ。婿とって家を守っていくはずの長女がいまさら嫁に行くって言い出して動揺していたから。

それまでの生き方を、考えを曲げたの。理屈はこっちにあるけど、それでも感情で納得できないって言う、その気持ちもわかるから折れるんですよ。

ちゃんとこういう話もしたけど反応薄かったんだよね。伝わってるといいんですけど。



というかねえ!「自分は苗字変わらずに生きるもの」「相手が苗字を変えて当然」って思って生きるのやめた方がいいですよ。

うちみたいに娘しかいないし、家の財産とか墓とか継いで欲しいから苗字変えないで欲しいって女性の実家サイドから要望あがる話わりと聞くし、そんなこと関係なく苗字変えずに生きたいっていう女性もいるので。なんかこれ忘れられがちですけど、いるから。普通に。こっちの方が大事だと思う。

そういう話になった時に男性側が「男だからそんなこと考えてなかった」「俺は男だから苗字が変わるのは嫌だ」みたいなこというと、もしも相手が姓を変えたくないと思っている場合、めちゃくちゃ絶望しますよ。私はした。

結婚考えるくらい好きな相手をカジュアルに絶望させたいなら止めないけど、そういう話が出てからめんどくさがったり焦ったりするより、あらかじめそういう可能性もあるつもりでよく考えていて、きちんと互いの要望すり合わせできた方がいいんじゃないかなと思います。

うちは選択しなかったけど、事実婚も含めてね。

というかね、そもそもね、現状でも別に婚姻する男女は必ず男性側の姓にならなきないけないって決まりはないので。

社会的にはそれが「普通」みたいになっているから殆どのケースでは女性が姓を変えるようなんですけど、法律的には「どちらかの姓を選択することができる」という状態で、必ず男性側の苗字にしなきゃいけないって決まりはないです。

夫婦になるにあたって女性側の苗字に変えることは異常なことではないですっていうことをね!当たり前じゃん普通のことだよねって言えるようにしたい!まずね!

何を当たり前のことを言ってるのって思われるかな。でもこれね、意外と分かってないですよ。分かってないと言うか、実感できてないと思う。いざ苗字を変えて欲しいって女性のパートナーに言われてひるむ男性多いような気がするし、女性の側からも男性に苗字を変えて欲しいってお願いすることは結構恐ろしいことなんじゃないですかね。

そこが変わっていかないと、夫婦で別姓を選択できるようになるまでは相当な時間かかると思うんですよ。

あなたが苗字を変えたくないように、あなたのパートナーも苗字を変えたくない可能性があること、きちんと考えていてほしいし、面倒くさがらずにちゃんと対話してほしいんですよね。

苗字を変えるのが愛情の証なんて、そんなバカなことないから。あくまでシステムの問題なんで。

女のお気持ちの話なんか聞かないなんて言わないで人間同士の話なんで、気持ちの問題だからこそ躓くんですよ。

私はずっと相手が絶対に変えたくない可能性と自分が変えたくないっていうのをどうやってうまくまとめるのか考えてたけど、それでもうまくやれたかどうかなんて全然わかんないですね、今の時点では。



まあお寺さんから「嫁に行った人は継げないです」って言われたら問答無用で私の苗字になってもらいますけどな!!!わはは!!!!!



はー今すぐ選択制夫婦別姓導入されないかなー(本音)